若者以外も注意!経験者が語る他人事でない音響外傷を防ぐ3つの対策

若者以外も注意!経験者が語る他人事でない音響外傷を防ぐ3つの対策

最近よく耳にするようになった「音響外傷」。
若者だけでなく中年や子供も要注意です。

中年である私も「音響外傷」は知識があるつもりではいましたが「自分はなるはずがない」という過信で、いよいよ発症してしまいました。

発症に至るにはいくつかの条件があり、自ら事前に防ぐことも可能です。
発症してしまうと軽いものであれば反省で済みますが、頭痛やめまい、耳鳴り、難聴にまでなると一生おつき合いしなくてはならない致命的なものとなります。

大好きな音楽で、身を滅ぼすのはとっても悲しいことです。

今考えると発症の条件が重なり過ぎていた発症の経緯と対策をまとめてみました。

急性音響性難聴とは

ライヴやコンサート、ウォークマンやスマホなど、大音量を長時間聴き続けることで起こる聴覚障害。
「音響外傷」「ヘッドホン難聴」などと呼ばれることもあります。

ストレスがたまっていたり、睡眠不足などの過労でも発症しやすいといわれ、音を振動として脳に伝える有毛細胞が損傷を受けることで、難聴や耳鳴りなどの障害が起こります。
一度大きく傷ついた有毛細胞は治癒するのは難しく、後遺症として聴覚過敏を伴うこともあります。

聴覚過敏とは

騒がしい場所でも相手の話し声を聞き取れたりと、通常私たちは自分が必要としている音だけを聞き取る機能が備わっています。

しかし、騒音も話し声もすべての音が同じ音量で脳が感じ取ってしまうのが聴覚過敏。

発達障害などでうまく機能しない場合や、音響外傷がきっかけで聞こえない周波数の音域を補おうと、聞こえる音域の音を自動的に上げてしまうこともあります。

音響外傷の後遺症の場合は、耳鳴りやめまいも伴うこともあり、治癒は難しいため予防に努めることが第一です。

耳鳴りや音がこもる感じが翌日になっても取れない時は、早めに病院を受診するようにしましょう。
タイムリミットは2週間ともいわれるので、我慢せずにできるだけ早く処置することが大切になります。

「音響外傷」を防ぐ3つの対策

「音響外傷」を防ぐのに難しいことはありません。
以下の3つを心掛けるだけです。

・ライヴ前に寝不足など疲れをためない
・できるだけスピーカーの近くに陣取らない
・ライヴ中はイヤホンを使用する


「音響外傷」になる条件が揃い過ぎていた私の経験も交えながら、1つ1つ説明していきたいと思います。
ちなみに私の悲劇は、夜通し野外フェス後に起きました。

疲れをためない

ライヴは日頃のストレス発散の場という人も多いと思います。
ライヴに行くために懸命に日々の任務をこなし「疲れた体でもライヴには望む」という姿勢は「音響外傷」になりやすい要因を秘めています。

はじめての会場で勝手がわからず少々緊張気味だったのと、肩も首も凝った状態で今までにない心身疲労状態で望んだのも要因の1つだったと思います。

寝不足でも首肩の血流は悪くなりコリを助長しますが、疲れた状態でさらに夜通し爆音に晒されていたのもよくなかったのだと思います。

ライヴ前には睡眠をよく取り、整体などで疲れを和らげておくのがおすすめです。

スピーカー付近を避ける

やはりステージは中央のベストポジションで見たいもの。
どうしても中央付近優先で人が集まるので、近くで見ようとすると比較的少なめのステージサイドのスピーカー近くに寄っていく傾向がありますが、これが命取り。
ライヴによっては、優先席としてサイドスピーカー近くが用意されている場合もあります。

私の場合、野外フェスの一番大きなステージのスピーカー前に陣取ったのも要因の1つ。
考えてみるとこれまでもステージサイドにいることはあっても、今回ほどスピーカーの真ん前にいることはありませんでした。
しかも一番大きなステージのスピーカーなので、爆音たるや…ですね。

より近くでステージを見たい欲にかられてもスピーカー前は避けた方がよいです。

イヤホンの使用

ライヴの爆音を柔らげる遮音用イヤホン。
ライヴでイヤホンをするのは何となく恥ずかしい時代は今や昔。
ライヴハウスでも遮音用イヤホンをする人をよく見かけるようになりました。

耳は消耗品。
これまで20代の頃から、小さなライヴハウス中心に通い詰めていたにも関わらず、聴覚に異常がなかったのはありがたいゆえに、そろそろ労らなければとイヤホンの購入を検討していた矢先でした。

結果的には、間に合わせて用意しなかったことが命取りとなりました。

遮音用イヤホンも今で、はいろんな種類のものが販売されています。
価格もピンキリですが、はじめにおためしするなら「CRESCENDO」のイヤープロテクターがおすすめ。
ケース付で大小2つのサイズがついてくるので、耳の小さな女性でも安心です。

初めから高額なものより、お手頃価格の「CRESCENDO」で一度使用感をおためししてから、自分の耳に合ったものを用意するほうがよいと思います。

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一番の原因は過信

これまでもライヴ直後は、耳が少々こもり聞こえにくいということはありましたが、そんなのはライヴに行っているのだから当たり前。
ライヴ後に耳が痛くなることも耳鳴りすることもなく、翌朝には耳のこもりは回復するので、耳は弱い方ではないという自負がありました。

大きな音に弱い耳であれば、もっと早く対策を練ったはずですが、疲れたままライヴに臨んだのも、スピーカーの前を陣取ってしまったのも、イヤホン購入を先延ばしにしたのも、結局は「これまでは大丈夫だった」という過信がもたらした結果といえます。

若者だけでない中年も注意

「音響外傷」はイヤホンで音楽を聴くことも多い、若い人に発症しやすいイメージですが、実は私のような若い時からライヴハウスに足を運んでいる中年代も要注意。

音楽を聴く媒体がスマホに変わり、私自身イヤホンで音楽を聴く機会も増えました。
爆音では聴いてはいませんでしたが、はずした後も引続き音楽が鳴っているように感じていたのも、実は耳の消費期限の前兆だったのかもしれません。

「音響外傷」は耳へのダメージの積み重ねでもあるので、ライヴハウスの響きが大好きで耳がこもるほどのダメージをため続けていると、いずれ発症するリスクが高まっていきます。

蓄積される疲れと年齢と共に減少する回復力。
若い頃からずっと音楽に関わってきた40代、50代も他人事ではありません。

子供はさらに注意

ライヴ会場の昔と違う光景いえば、お子様をちらほら見かけること。
小さな背丈で楽しめるかも疑問ですが、何より気になるのは子供たちの耳。

大人でもイヤホンをつけている人をよく見かけるようになりましたが、子供に遮音のためのイヤホンやイヤーマフをつけている親御さんの少ないこと。

大人は自己責任といえますが、何も知らない子供たちが一生聴覚障害で悩まされるなんて可哀想すぎます。

聴力に限らず視力など、就学時の健康診断で劣っていることにやっと気付く親御さんも少なくありません。

会場で「音がうるさい」と耳を塞ぐ、正常な子供たちには聴覚保護のために、子供用のイヤーマフも多く販売されるようになりました。

会場で貸し出しを行うイベントやアーティストも増えましたが、参加する機会が多いならば、やはり自分専用のマイイヤーマフの購入をおすすめします。

音楽好きの親なら、子供たちのためにも耳を守る最低限の知識を身につけて欲しいですね。

大きな会場のコンサートや野外フェスでは麻痺しやすいですが、スピーカー前でなくても会場全体が大きな音で包まれています。
イヤーマフをしていても話し声などは聞こえるので、会場内はできるだけ始終着用を心掛けたいですね。

主催者側もイヤーマフやイヤホンなしの子供は入場規制するように早くなればと思います。

聴覚過敏保護シンボルマーク

数年前の私なら、イヤーマフをして公園で遊んでいる子供に対しても「こんなヘッドホンで子供に音楽を聴かせるなんて」という理解のない大人でした。
しかし今思えば、聴覚過敏で悩む子供への配慮だったのだと思います。

イヤーマフや音楽をより楽しむために、周りの音を遮音するものでもありますが、周りの音が気になり過ぎる人が利用するものでもあります。

そんな私のような知識不足の大人のために、株式会社石井マークさんでは「聴覚過敏保護シンボルマーク」のデータを無償提供しています。

聴覚過敏保護シンボルマーク

パソコンでシール印刷して子供のイヤーマフに貼り付けてあげれば、周りの理解も得られます。

データが無償なだけに、缶バッジ以外にもお気に入りのカラーで自主制作が可能です。

「音響外傷」だけでなく「聴覚過敏」もまだまだ社会認識は低め。
「音響外傷」から「聴覚過敏」なんて最悪の事態は避けたいですが、その際にはぜひ「聴覚過敏保護シンボルマーク」 をご活用下さい。

まとめ

音楽好きなら、老若男女問わず誰でも発症リスクがある「音響外傷」。

私の場合は軽い耳鳴りで済みましたが、ひどくなるとめまいや吐き気、難聴と大好きな音楽イベントだけでなく、日常生活までが犯されてきます。

ライヴ翌日にまで症状が残るようなら、2~3日待ってもあまり症状は回復しないように思います。
2週間放置したら回復が難しいともいわれるので、もしかしたらと思ったら発症から1週間以内に病院でお薬を処方してもらった方がよいです。

「昨日までは大丈夫だった」では後の祭り。
ちょっとの心掛けで自分で防げるだけに、なってしまってから後悔のないよう音楽生活を楽しんで欲しいと思います。

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